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岡山大学への申し入れ書と質問書   

2018年 03月 22日

軍学共同反対連絡会は2月8日、岡山大学に以下の申し入れ書と質問書を提出しました。質問書に対して3月9日大学から寄せられた回答を各質問の下に添えます。回答は何れも質問の核心からずれた的外れなものです。大学がこんな回答をするなんて!
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防衛装備庁研究の中止を求める申し入れ書

岡山大学長 槇野博史様               2018年2月8日

                  軍学共同反対連絡会 
 〒113-0034 東京都文京区湯島1-9-15 茶州ビル9階 日本科学者会議気付

            共同代表 池内 了(名古屋大学名誉教授)
                 西山 勝夫(滋賀医科大学名誉教授)
                 野田隆三郎(岡山大学名誉教授)

私たちは軍学共同に反対する運動に取り組んでいる団体です。
           http://no-military-research.jp/
大学は学問研究の場であり、学問研究の目的は真理の探究を通して、人類の平和と幸福の増進に貢献することにあります。人と人が殺し合う戦争は人類の平和と幸福を破壊する最たる行為であり、学問研究が戦争に協力することがあってはなりません。
前の戦争で科学者が戦争に全面的に協力した結果、人類に想像を絶する惨禍をもたらしたことへの痛切な反省に立って、日本学術会議は軍事研究との訣別を誓う声明を1950年、1967年の2度に亘って発表し、昨年3月にもあらためてそれら両声明を継承するとする声明(以下、17年声明)を発表しました。
防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度は、日本を再び戦争する国に逆戻りさせると危惧された安全保障関連法の成立と同じ2015年に発足しました。同制度は表面上、軍民両用を掲げていますが、17年声明が「(同制度は)将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って公募・審査が行われ、外部の専門家でなく同庁内部の職員が研究中の進捗管理を行う」と述べている通り、同制度の主たる目的が軍事技術の開発・向上にあることは明白です。このような制度に最高学府である大学が応募することは、学問研究を本来の目的から逸脱させ、学問研究の軍事協力を推進し、軍事研究との訣別を誓った先人たちの痛切な反省を無にするものです。
貴大学は2015年から2017年まで毎年、当制度に応募され、2017年には分担研究機関として採用されましたが、私たちは上に述べた理由により、貴大学が採用された防衛装備庁研究を中止されますよう強く申し入れます。
私たちの申し入れにもかかわらず中止されない場合は、貴大学のお考えを明確にしていただきたく、別紙の私たちの質問に対して、3月10日までに上記E-mailアドレスへご回答をお寄せくださいますようお願いいたします。貴大学は安全保障技術研究推進制度発足(2015年)以来、毎年、同制度に応募している数少ない国立大学の一つです。国立大学は国民に対する説明責任を負います。ぜひ私たちの質問に対して、項目毎に、誠意をもってご回答くださいますようお願いいたします。
               


質問書

 1 貴大学は2017年度の安全保障技術研究推進制度に応募・採用されたことについて「学内のルールにのっとり、先進的な民生技術についての基礎研究に取り組む観点で応募した」(山陽新聞2017年12月28日)とされています。しかし、貴大学が応募・採用された防衛装備庁の募集テーマ(28)「極超音速領域におけるエンジン燃焼特性や気流特性の把握に関する基礎研究」(マッハ7程度以上を想定)は防衛装備庁が極超音速戦闘機開発のために利用しようとしていることは誰の目にも明らかです。貴大学は貴大学の研究が軍事に利用されてもよいとお考えの上で応募されたのですか。
(大学の回答)同制度は、平成29年度公募要領「1. 安全保障技術研究推進制度」「1.1 制度の趣旨」で述べられているとおり、「先進的な民生技術についての基礎研究を公募する」ものとされています。

 2 貴大学の「岡山大学研究ポリシー」には「岡山大学に所属する全ての研究者は・・・・・専門家として国民の負託にこたえなければならない重大な責務を有する」とあります。安全保障技術研究推進制度は、日本学術会議17年声明が「将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って公募・審査が行われ、外部の専門家でなく同庁内部の職員が研究中の進捗管理を行う」と指摘するとおり、軍事を主目的とする制度であることは明らかです。貴大学は、防衛装備庁の掲げる軍民両用を根拠に、このような制度に応募することが「国民の負託にこたえ」、国民の大学に対する期待に沿うものであるとお考えですか。
(大学の回答)資金の配分機関が採択された研究プロジェクトの進捗管理を行うことは、国等が所管する他の研究資金制度でも一般的に行われるものであると考えています。

 3 戦争は外に憎悪すべき敵を作り上げ、その外敵から自国を防衛すると言う大義名分のもとではじまります。前の戦争は、極悪非道の鬼畜米英の脅威から我が国を守る自存自衛の聖戦とされ、科学者もその聖戦に全面的に協力した結果、戦後、痛切な反省を迫られるに到りました。  
いま、2,3の近隣諸国の脅威が煽られ、それを口実に軍備増強が図られ、再び戦争がやって来る恐れが高まっています。過去の歴史に鑑み、大学はこのような現状に、軍備に依存しない平和の確立の観点から警鐘を鳴らすことが「国民の負託にこたえる」ことではないでしょうか。安全保障技術研究推進制度はかかる状況下、軍事技術の開発・向上を目的に発足しました(2015年)。このような制度に最高学府である大学が応募することは、大学が先人たちの痛切な反省を忘れ、学問研究の軍事への協力を推し進め、学問研究を本来の目的から逸脱させるものと考えますが、貴大学はどのようにお考えですか。
(大学の回答)今回の応募については「岡山大学における「安全保障技術推進制度(防衛装備庁)」への対応について」(平成29年5月29日役員会決定)に基づいて公募要領に定められた内容について判断しています。また、本学では「岡山大学研究ポリシー」(平成16年4月1日制定 平成29年2月15日改定)(別紙)を定めており、全ての研究者はこれに従って研究活動を行っています。
                                    以上



by dgunk | 2018-03-22 14:41

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